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 今日は冬至である。柚子湯に浸かりながら考えた。郵政民営化について……。少し前にこんなことがあった。
 雑誌が校了になり、さっそく組み版をしていただいている編集工房から、版元へ校了紙を郵送で送るようにメールをした。版元で最終確認をしてから、印刷所へ校了紙が送られ、印刷・製本へと工程が進む筈であった。ところが、ところがであ~る。版元から「校了紙が届いていない」との電話が入った。印刷が遅れると当然発行が遅れる。そうなると、違約金を払えば済むという問題だけでなく信用問題に繋がる。
 小生はすぐに編集工房へ連絡すると、3日前に速達で送ったとのこと。郵便局の集配センターへ問い合わせしたのは18時ごろ。電話が出たのは、おそらく若い女性で、妙に明るい声の持ち主である。
「はいい♡♡♡ 郵便物が行方不明なんですね♡♡♡」
「大至急、調査してくれたまえ」
「はいい♡♡♡ どこでなくなったんですか♡♡♡(こっちが知りたいよ~)明日でもいいですか♡♡♡」(大至急といっているではないか)
 こんな陽気なしゃべり方であった。これから彼氏と呑みに行く予定でもあるのか。じつに陽気で人ごとのような対応である。おそらくマニュアル通りの対応なのか、しかしそこには「申し訳ございません」という言葉が欠落しているのだろうか、謝罪の言葉がなかった。あきれ果てて冷静に「君の上司を出してくれたまえ」 と言うと、しばらくして甲高い声がしてきた。ぎっく。
「は~い♡♡♡ どのようなごよ~けんですか♡♡♡」
 上司らしき女性が電話口にでた。事情を説明すると「あなたは第三者ですからお答えする義務はありません。そのような決まりなので~す♡♡♡」というではないか。小生にむかって。小生を何だと思っているのか。「酔っ払いでしょう♡♡♡」と言われたら、「ピンポン。正解で~す」と答えるしかない。
 だが、小生はそんじょそこらの酔っ払いとはちっと違うぞ。どう違うのかと言われたらちっと困るが。
 それはともかく、話をきくところによると、つまり小生は編集工房に郵便物を依頼したので、送り主は編集工房となり、受取人は版元であるからにして、小生は「第三者」となるという理屈である。よって「第三者にはお答えする必要はない」ということらしい。 何というこじつけ。
「誰がそんな決まりを作ったのじゃ」
「はいい♡♡♡ センターの決まりで~す♡♡♡」この上司らしき女性も語尾に「♡♡♡」が付くしゃべりである。耳元で息を吹きかけられているようでくすぐったい。な~る。男をそそのかす、企業戦略の一つか。郵便局もなかなかやるじゃないか。さすが郵政民営化!! きっと事務所の壁には「いつも明るく笑顔で~♡♡♡」と標語が貼ってあるに違いない。
 これは、これは。埒があかぬと思い、近くの郵便局へ連絡して調査してもらうことにした。すると、1時間経ってから、不在だったので、そのまま置きっぱなしにしてしまった、ということであった。いやはや。郵政民営化とは、これだったのか。小泉さ~ん♡♡♡
★教訓1 郵便局を当てにするな。

 この間は、親切な郵便局員もおられた。郵便物を出そうと思ったら、局員がシャッターを閉めようとしていた。
「すみません。間に合いますか」
「時間ですので……」おお、何と時間に厳しいこと!! と思ったとき「中身は何ですか」と尋ねるではないか。
「雑誌です」
「雑誌でしたら、メール便を取り扱っているコンビニがこの先にありますよ」
 コンビニが有る方を丁寧に教えてくれた。嗚呼、なんて親切な郵便局員なのか。神の声を聞いた気がした。あの二人の女性とは大違い、と思ったのは一瞬のことだった。
 そっか。これが郵政民営化なんだ。郵便局が独占してはならぬという思いで、他社に少しでも利益が得られるように? 時間に厳しく1分でも過ぎたら他社へ仕事を回すのであろう。共栄共存の精神とはこのことだったんですね。さすが小泉さ~ん♡♡♡ ところで小泉さんは何処?
★教訓2 利益より時間厳守の郵便局。1分でも時間を過ぎたらクロネコヤマトへ。

 今もあの「はいい♡♡♡」という声が耳から離れず、小生の耳もとで息を吹きかけられているようで妙にくすぐったい。
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 臘月になった。小生の誕生月であるが、もう数年前から年を取るのを止めたので、取り立てて嬉しいとは思わない。が、ちょっとばかり贅沢もしてみたい。たとえば、高級鮨屋(といわなくても)のカウンターで一人座って、鮨をつまむのもわるくない。「すし」を漢字で表わすと「鮨」「寿司」「鮓」などの表記がある。『毛吹草』の「俳諧四季之詞」の四月に「鮒鮓」が登場する。江戸時代から鮨が食べられていたとは。鮨は日本が産んだファーストフードというと語弊があるか。鮨でも握り鮨、押し鮨、ちらし鮨があるが、江戸っ子(じつは小生は信州子であるが)は、握り鮨に限る。
 地方によって鮨もいろいろとある。吉野へ桜を見に行った時は「柿の葉鮨」を、伊勢参りのときは「手こね鮨」を食べた。旅の先々で食べた鮨の味は忘れられない。何年か前に陸奥へ旅をした。奥の細道を歩こうと思って。松島へ行く前に塩竈へよって鮨を食べるのが、この旅の目的のひとつでもあった。塩釜は人口に対して「日本一」鮨屋が多い町と聞く。つうは「えんがわ」を食べるらしい。うん、歯ごたえがあって美味い。トロは3貫も食べればいいが、こりゃ酒の肴にぴったりである。ほろ酔い気分になると、恐いものみたさで、珍味が食べたくなる。海鼠やほやは見て目はグロテスクだが、肴にはいい。
 そこで、たしかこんな小咄があったことを思い出す。小生が潤色すると、こんな感じになる。

 せっかく旅に来たのだから、鮨で食おうと思った。港町だから美味い鮨屋があるはずだ。だが見つからない。あたりをみると、ピンク色のネオンの輝く如何わしい通りだ。こんな通りに鮨屋があるわけがない。よ~く、みると、あった! あった! 何? たいがい鮨屋の名前といえば「松鮨」とか「銀鮨」とか「雛鮨」と言ったのが相場だが、ありゃなんだい「快楽鮨」って。変な名前だね。看板にはネオンがちかちかしているよ。あ、いいっか。はいってみよう。
「へい。いらっしゃい~」
 引き戸を開けると、なんだい。やにうす暗いじゃないか。節電をしているのか。いい心がけだね。カウンターに腰掛ける。
 冷酒をたのむ。うっ。胃潰瘍じゃなくて、すきっ腹には、これか効くちゅうもんだ。美味いねー。これだから人生は止められないね。酔いが少し回ってきたところで、さっそく御品書をみると「なんでも握ります」と書いてあるだけだ。なになに「サービス込み」とある。こりゃ~なんだい。「サービス」とは。値段もわからない。まあっ。ここは奮発して。
「なに握りましょう。……「走れ」いきましょうか」
「なんだい、その「ハ・シ・レ」とは」
「トロとイカですよ。「走れトロイカ」っていうでしょう」
「たまげたね、板さんがギャグをいうなんて」
「ヘイ。わっしゃ、芸人志望なんで」
「鮓屋と芸人はどう関係があるの」
「どちらもネタとシャリで決まります」
「なにバカなこと言っているの、どれどれ」
 トロを一口で食べる。ワサビがきて、シャリも美味いね。赤みを帯びて、トロが口の中で溶けて行くようだ。 さすが漁港だけあるな。
「さすが芸人! 美味いね。ああっ。極楽、極楽」(ちっと違うか)
「すいやせん。板さんですが。…美味いすっか。あいにくトロを切らしていて、息子の弁当のウインナーを半分に切って、握たんですがね」
「ええ。ウっ、ウインナーだって。トロかと思ったよ」
「次なに握りましょう」
 せっかく遠くまで来たのだから、江戸では食えない、珍しいものでも握ってもらおうかな。
「珍しくて、飛びっきりの生きのいいやつ、握ってくれ!」
「へい。わかりゃした~。生きのいい、珍しいやつですね。」といって、いきなりカウンター越しから身を乗り出した。
「……」
「……」
「何するねん」(急に関西弁になって)
「へい。生きのいい、珍味を握りやした」

 おあとが宜しいようで。

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