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 彼岸になると、決まって彼岸花が咲く。彼岸に咲くから彼岸花という。どちらにせよ、この花は神秘的な美しさがある。山里や墓地やお寺や畑の傍にすーと咲くこの花を好む人は多くないかもしれない。
  むらがりていよいよ寂しひがんばな  日野草城
 この花が咲くと朝夕は肌寒く、これから日が短くなってゆく。
がんらい曼珠沙華というのが正式名称だろうか。他に死人花(しびとばな)、天蓋花(てんがいばな)、幽霊花、捨子花、狐花、などある。
 小生は「曼珠沙華」という高貴な字面に惹かれるが、やはり彼岸花の名のほうが好きだ。小生の猫の額より狭い庭に彼岸花が咲いた。この花はあの毒毒しい赤を思い浮かべる人が多いだろう。 
  つきぬけて天上の紺曼朱沙華   山口誓子
 埼玉の巾着田の彼岸花の群生地は有名で、見に行ったことがあるが、あの赤は不気味さが感じられ、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話に出てくる地獄の血の池を想像してしまう。この花をみると、幼年のころに、紙芝居で「蜘蛛の糸」を読んでもらったときを思い出すからだ。
 地獄の血の海に、お釈迦様の糸が垂れて、カンダタが糸を摑んで昇る。糸を上ってゆけば、極楽へゆけるのだ。そこまで行くに千里もの長い糸をよじ昇らなければならぬ。カンダタは疲れて下を見ると、血の池から這い上がろうと、数百人、数千人もの罪人らが、蜘蛛の糸を昇ろうとする。このままでは糸が切れてしまう。カンダタは、自分だけが極楽へ行ければよい、と思った瞬間に、糸が切れてしまう。
 こんな話を想起する。だから赤い彼岸花が群生している風景は、あまり好まない。
 柿生山里に蟄居する、小生の拙宅の狭い庭には、赤ではなく、白い彼岸花が咲くのだ。あの不気味さから解放された思いがする。


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