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 師走に入り、老生は貧乏大いに暇ありの生活。
 暇にまかせて読書三昧の日々を送っている。読んだ本を列挙しよう。

①『日本神話と聖書と心のかけ橋』(増田早苗著)
②『日本昔話霊性』(増田早苗著)
③『硝子戸の中』(夏目漱石著)
④『芭蕉-日本人のこころの言葉-』(田中善信著)
⑤『星に降る雪/修道院』(池澤夏樹著)

 ①と②知り合いのシスターから頂いた本である。『古事記』『日本書紀』と『聖書』における神話の類似点が明らかにされて、老生もびっくり。東洋と西洋の神話とはまったくの異質であると固定概念を抱いていたが、これほどまで似ているとは。むろん双方が書かれた頃、東洋と西洋との文化交流はなされていなかった筈、なのに。もしかしたら神話には源泉があり、そこには幾筋の水脈が流れていたのか、と想像するだけで楽しい。
 ④は芭蕉の句、書簡の一文などの言葉を著者の長年の芭蕉研究に基づいて、面白く書かれている。田中氏は『芭蕉』(中公新書)でも芭蕉像を社交的で人を笑わせることが好き人物だ、と語っておられる。老生もそう思う。芭蕉はやはりどこにでもいる人。ただし、他の人と違うところは、俳諧に関して卓越な創造力を持っていただけ。といえば大袈裟かも。芭蕉はいつからか「俳聖」と祀り上げられ、さぞかし迷惑をしているだろう。本書の中に芭蕉の無常観について書かれている。この無常観は当時の人とかなり異なるとある。③の『硝子戸の中』に、漱石の無常観が窺知できる。田中氏が説いた芭蕉の無常観と酷似する。これも驚き。
 ⑤本書には2篇の中編小説が収められている。老生は「修道院」を昨日を読み終えた。池澤氏の中編小説のなかではもっとも秀逸。こちらは是非多くの方に読んでいただきたい。
 ちっとだけ紹介しよう。もったいぶっているわけだが。
 「私」は大学で教鞭を執っている。一年間の講義が終わり、クレタへ旅に立つところから始まる。その街には荒廃した「旧修道院」があり、「私」は礼拝堂に惹かれた。壁には銘板があり汚れ、泥を指先でなぞりながら、漸く読めた。「ミルトスのために」と。廃墟となった礼拝堂の中に踏み入れると、大きな十字架。暗闇の中に見えたもの……。「イコン。パナギ(聖母マリ)らしき像」。しかも瞳から涙があふれ、頬を伝わって落ちた、のを「私」は見た。「イコン」の絵には半世紀前の悲劇が隠されていた……。その悲劇とは。
 後はお楽しみ。 中編小説ながら壮大なストリー。
 老生は読者子とは言えるほどではないが、まぁ、読書(乱読・積読)と酒を呑む楽しさは、老後の楽しみ。
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