FC2ブログ

プロフィール

獺祭堂主人

Author:獺祭堂主人
相模之國柿生隠棲
主夫兼編集者
アルコール常用者

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

お知らせ

①粋曜喫茶室編集『江戸文化カフェ』発行

リンク

獺祭堂のお客様

検索フォーム

RSSリンクの表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 小学校6年の国語の教科書(愚息の)に重松清著『カレーライス』が掲載されていたので、ちっとばかり読んでみた。ほろ酔いに任せて拙い文章を書いてみよう。おそらく6年生の生徒から「ちっと違うよ」と投書があるかもしれないが。まぁ、そこは酔っ払いの独り言と思ってご海容願いたい。
 主人公、小学6年の「ひろし」が制限時間(家庭内のルール)を超えて、ゲームに夢中になっていた。それを見たお父さんがいきなりコードを抜いたことから話が始まる。
 小学6年生といえば、思春期にあたり、子供と大人の二面性をあわせもっている年頃でもある。お父さんもお母さんもひろしに対して、子ども扱いをする。それがひろしにとって嫌だった。とりわけお父さんは。ひろしは自分が約束を破ぶり、悪いことをしたと認めつつ、素直に謝ることができなかった。言葉に表すことができない悶々としたものが心中にあった。
 お母さんは、仕事の関係で仕事で帰宅するのが遅い週があり、その週はお父さんが仕事から早く戻ってくる。「お父さんウイーク」と言うらしい。一日目の夕食はカレーライス。それも甘口カレー。ひろしは低学年のころまでは甘口のカレーをおいしく感じていたが、6年生になるとおいしく感じなくなっていた。
 翌朝、お父さんはひろしのために朝食を作る。それも崩れかけた玉子焼き。ひろしには火を使わせないために、忙しいなか朝食を作る。夕方お父さんは風邪を引いてしまい、今晩の夕食は「弁当」だと決めつけてしまう。ひろしは自分で夕食を作ると言い出す。
 お父さんとひろしは二人でカレーライスを作る。ひろし秘蔵の中辛のカレーだ。二人は一緒に作り、食べる。お父さんはこの時、初めてひろしが「中辛のカレー」を食べられるようになった年齢を改め知る。それによって、我が子の成長に気づく。そうだ「来年は中学生」と。そして二人は今度は別の料理を作る約束をする。
 『カレーライス』は、思春期の少年の心の葛藤がよく描かれている。 
 お父さんは、ひろしが甘口カレーしか食べられないと思っていたいが、じつは中辛カレーを好んでいることによって、我が子の成長を認める。また、ひろしに火を使わせることは危険と思いこんでいたが、今度は別の料理を作ろう、と約束する場面によって、すでに子どもとしてでなく、大人に差し掛かった、我が子との大人との約束が交わされる。
 ひろしは、なによりもお父さんが自分の成長に気づいてくれたことが、うれしかっただろう。結果的みれば、大人同士の約束できたことが、和解することになった(ひろしが謝らなくとも)が、蛇足だがお父さんにとって我が子の成長は嬉しいと同時に、一抹の寂しさもあろうね。父親が我が子が親離れできないと思っていただろう。それがいつしか、我が子が自立しようとする揺籃期に差し掛かっていたことへの嬉しさとが、父親の胸中に複雑に絡み合っていることに、ひろしを通して照射さている、という見方も可能であろう。
 ラストシーンで、ひろしは二人で作ったカレーライスがちょっぴり辛くて甘くてと感じる。教科書には「辛口」と「甘口」は何を表しているのか、といった設問がある。作者にとってさほど意味深く考えていなかっただろう。編集者の勝手な思い込みがあるように思える。国語の面白さをこの設問によって切り崩してしまったような気がしてならぬ。愚生には、もっとこの話には(もしかしたら作者すら気づかぬ)、思春期における深いものが描かれているように思える。学校の授業ではこの作品について感想文を書かされている。愚生が小学校の頃はかなりひねくれていたので、「毎日カレーは飽きる」とか「カレーライスよりハヤシライスのほうがいい」と書いたかも。それはともかく、子供の素直な心でこの作品を読んだ時の感想をぜひとも知りたいものだ。
 思春期はだれでも訪れる。ひろしがあと数年すれば「理由なき反抗」のジェームスディーンのように、父親との葛藤があるだろう。
 小学校6年生を教える先生は、このはなしをどう児童につたえるのかなぁ。文学の多様性の面白さを伝えるのは、小学校の先生の力量にかかっているだろう、その授業を受けた児童が文学好きになるか否かにかかっている。先生の責任は重い。
スポンサーサイト

<< 名著巡礼その六 平塚宣子著『ぱしゅみな』 | ホーム | 古典講読「芭蕉の紀行文をよむ」 >>

コメント

コメントの投稿

URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 ホーム 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。