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   深沢眞二著『連句の教室 ことばを付けて遊ぶ』平凡社新書

 「まえがき」によれば、著者の深沢氏は勤務校の和光大学で「共通教養科目」において、連句の実作指導をしているそうだ。和光大学は小生が蟄居している柿生から程近いところにあり、大変緑豊かなところにキャンパスが位置している。そこに通う学生は学力試験の「偏差値」ではなく「「あいつ、とっても変さ」の「変さ値」が高いところだと、「和光大学名誉教授で元・和光学園理事長であられた、故・石原静子先生」が自負(?)していたところだそうである。
 深沢さんが教鞭を執られている、授業では、人文系・芸術系・教育系・心理系・経済系の多様な受講生が在籍しているらしい。このような個性溢れる学生らとともに連句を巻くことは、宗匠として捌きがいがあるに違いない。
 本書では、連句の実作を、実際の授業を再現する形式で書かれている。ので、あたかも読者は教室で、付け句を捻っている気になってしまう。授業の終わり15分前に短冊を配り(これが出席票となる)、課題の付け句を学生が作る。それを回収し、翌週の授業では、それらの付け句の講評が行われる。出来不出来によって点数が与えられ、これがいずれ成績となる。学生は真剣勝負を強いられる(ちっと恐い授業)。でも、内容はとても穏やか。
 2012年度の発句は、深沢さんの

  うぐいすが鳴けば和風に町光る  山左右

である。この句には「和光」の二文字を詠み込み、さらに大学の所在地である町田の「」も入れた遊び心があり、春の長閑さ、新学期が始まったキャンパスに、学生を迎え入れる雰囲気のある句である(ちっと誉めすぎかな)。この発句に対して脇句は。9点句は

  桜挟みし便りが届く  田園都市

である。講評では「発句でうぐいすが鳴いているということに対して、「便り」がよく付いています」とある。さらに「「和風」に「桜」と応えてくれていて、丁寧に言葉を選んでいる感じ」と。なるほど、発句に調和し、発句を引き立たせる句である。うららかな昼下がりといったところか。この脇句に深沢さんが手を入れて、「桜挟んだ便りが届く」とされた。
 と、いうように、投句に対して、きめ細かに講評がなされている。このように36句の講評が行われるのだ。
 そもそも、歌仙は芭蕉のころの形式である。その式目を正しく理解しなければならない。式目は、連歌の時代から作られ、かなり煩雑になってしまった。俳諧ではそれを踏襲しつつ、簡素化したが「式目書」を読むのは、すこしばかり骨が折れる。「去り嫌い」「同字三句去り」などがあり、式目はいわば「べからず集」なのだ。そうした「見ややこしいルールも」本書を読めば「すきり腑に落ちる」という配慮で構成されている。この書を読むと、この「べからず集」は、一巻に変化を与える役目があることが理解できるだろう。つまり連句の醍醐味はこうした「変化」にあるのだ。
 授業では、先週の授業で回収した付け句の講評が中心である。時折、授業中に「出勝ち」「グリープ実作」なども行われる。つまり授業にも「変化」がある。
 歌仙では二花三月といわれ、花の句を二句、月の句を三句詠まねばならない。連歌の時代から「花」「月」の句は珍重され、それを「月の定座」「花の定座」の項では丁寧に説明されている。とりわけ、「恋の展開」「恋のテクニック案内」は面白い。おそらく深沢さんの経験が生かされているからだろう。小生は門外漢であるので、恋のテクニックを学ぶこととする。
 このように連句の式目などを易しく書かれたのが本書である。最近では様々な形の連句が作れている。共同文芸の面白さが俄かに広がってきていることは、まことに嬉しい。
 歌仙を巻くことによって、芭蕉時代の連句をより理解することになるだろう。連句がもっと多くの方が作られることを願うばかり。その前によき指導者が必要である。教員の方は、本書を是非とも読んで頂き、授業で連句実作を行って貰いたいと思ふ。
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