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 今年は芭蕉没後320年。
 「芭蕉」。世界的に知られた俳人でありながらも、没後320年経ったとは、さほど知られていないようである、と思うのは愚生だけだろうか。それは杞憂に過ぎないだろう。というのは、出版界では、それにあやかって「没後320年」という節目というか、中途半端な年を記念して、明治書院から『新芭蕉俳句大成』が出版されたからだ。なかなかの大著でる。諸注釈を載せて、芭蕉句の解釈を余すところなく載せているのは、ありがたい。
 芭蕉句を鑑賞するには、数多の注釈を丹念に読み、どれがよかろう、とは決めつけないで読者の共感する解釈があればそれで良し、とするべきであろう。愚生は俳句鑑賞は読み手の文学である、とブログにそれらしきことを綴ってきた。
 いまさら芭蕉に、この句はどういう気持ちで詠んだ、とは聞けないし。まぁ、目くじらを立てずに、おおらかな気持ちで、懐広く、好きな芭蕉句を鑑賞者の感性をもって、享受するべし。ともあれ、ともあれ。
 その意味では本書の出版の意義は大きい。
欲を言えば、芭蕉没後320年記念を新聞各紙でもっと宣伝して欲しいものだ。没後320年を契機に芭蕉の作品を読んでみようと思う読書子もいるだろう。そうあって干芋。
出版不況にもかかわらず、大著『新芭蕉俳句大成』を上梓した明治書院の編集者の心意気にこたえるためにも、本書を市町村の図書館・大学の図書館に是々非々ともリクエストしてもらいたいものだ。

 
 まえがきと推薦文は以下のとおり。

 第二次大戦後の芭蕉研究は大きく変化した。芭蕉の作品の中で最も親しまれてきた発句(俳句)についても、そこに「詩」を読むことと共に、「俳諧」を読みとることが加わり、新しい解釈・鑑賞が展開してきた。たとえば「古池や」の句についていえば、これを日常詩としてみる白石悌三の説、『袋草子』の故事のパロディとみる深沢眞二の説、切字「や」のあとの空白を重視して蛙は実際には池に飛び込まなかったとみる長谷川櫂の説など、さまざまの説が提示されてきた。(略)本書は、そうした戦後約七〇年間に登場してきた諸説を可能な限り一つ一つ、その要点を紹介・整理して、それぞれの句の解釈の方向性を探ろうとするものである。


推薦文

『新芭蕉俳句大成』に期待する―「夏草や」の一句を例に―

                    ドナルド・キーン(日本文学研究者)

 一九四六年(昭和二十一年)、コロンビア大学の角田柳作先生の指導の下、私は『おくのほそ道』に出会いました。それからずっと芭蕉の生涯と芭蕉の俳句の研究を続けてきました。

 俳句は世界でもっとも短い詩です。しかし、ヨーロッパのエピグラムとは違って、深い詩の世界を形成しています。

 芭蕉の句にはたくさん好きなものがありますが、その中で「どうしても一番いい句と思うものを選べ」と脅迫されたら、

  夏草や兵どもが夢の跡

をあげるでしょう。眼前に茂る夏草、そこに昔戦って死んでいった兵どもの姿が蘇る―どうしてこんな詩の世界をわずか十七音の文字で作れるのでしょう。しかも、この句には、ローマ字書きすると「O(お)」という発音が繰り返されています。「O」という発音は、洋の東西を問わず、悲しい音の響きがこめられているのです。

 「夏草や」の句は、「夢」の解釈をめぐってさまざまな説が展開されてきましたが、角川源義氏が「俳句の国際化」(『角川源義全集』四)という文章で書いたように、芭蕉はこのとき、複式夢幻能の「諸国一見の僧」の立場で、この句を発想したのだといった説も、近年見直されてきているようです。

 『新芭蕉俳句大成』には、戦後六十八年、ちょうど私が取り組んできた芭蕉研究の歴史と重なる年代の、そうした芭蕉の句の研究の歩みが、丁寧にまとめられています。これからの芭蕉俳句研究の再出発となるでしょう。俳句の国際的研究を進める上でも、大変有意義な本となるでしょう。
 


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